性行為・医療機関

HIV感染症/AIDS

後天性免疫不全症候群(Acquired immunodeficiency syndrome ;AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus ;HIV)感染によって生じ、適切な治療が行われないと日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす状態をいいます。感染経路は、性交渉、母子感染(経胎盤・経産道・経母乳感染)、血液感染(輸血・臓器移植・医療事故・麻薬の静脈注射など)があります。
我が国の2019年の新規感染者数は、HIV感染者903人、AIDS患者333人でした。ここ数年の感染者数はほぼ横ばいで、男性同性間によるものが、全体の7割以上を占めます。世界では、2020年はHIV患者が約3700万人、そのうち150万人が新たに罹患しています。年間死亡者数は、2004年が約170万人と過去最多でしたが、2019年は約69万人でした。

症状

無治療の場合、①感染初期(急性期2~6週間)、②無症候期、③AIDS発症期の経過をたどります。
① 感染初期(急性期)
HIV暴露危険度が高い行動※の2~6週後に発熱・倦怠感・筋肉痛・リンパ節腫脹・発疹といったインフルエンザのような症状が起こります。約10週間で消失します。
※HIV感染者あるいは、感染リスクを有する人との性的接触、麻薬静注などにおける注射器などの共有、HIVが含まれる可能性のある液体への粘膜などの暴露。
② 無症候期
表面上は無症状ですが、実際は体内でHIVが著しい速度で増殖しています。HIV感染症に特徴的な症状はほとんど認められないが、梅毒や淋菌、コンジローマ、クラミジア等といった性行為感染症、肝炎、帯状疱疹やヘルペス、結核、口腔カンジダ、赤痢アメーバがきっかけとなり、HIV感染が判明することもあります。
③ AIDS発症期
ウイルスの増殖に感染者の免疫応答が負けてしまい、免疫不全状態となり、感染者はAIDSを発症します。

治療

早期発見、抗ウイルス薬による早期治療。早期に適切な治療をうけることで、非感染者と同程度程度の寿命が期待できるといわれています。

予防

「NO SEX」:不特定多数の相手と性行為をしない
「SAFE SEX」:感染をしていないことを相手に確認してから
「SEFER SEX」:適切なコンドームの使用

〈参考〉
・予防について(東京都福祉保健局・感染症対策)
  https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/aids/yobo.html#cms959CF

・全国HIV/エイズ・性感染症 検査・相談窓口情報サイト
 HIV検査相談マップ https://www.hivkensa.com/knowledge/whatis

B型肝炎

B型肝炎ウイルスによる感染症です。多くの場合は一過性の感染ですが、新生児が感染すると持続感染になることがあります。アジアやアフリカなどでは持続感染者が多く、人口の約10%以上に及ぶといわれています。B型肝炎ウイルスは、持続感染者の血液や体液に存在します。このため、流行地域では輸血などの医療行為や性行為で感染が拡大します。

症状

発熱、全身倦怠感、嘔吐、黄疸などの症状がみられます。劇症肝炎に約 2%の割合で移行します。時に慢性肝炎になるケースもあります。

予防

流行国に滞在する場合は、出国前に B型肝炎ワクチンの接種をお奨めします。接種方法は 1ヶ月間隔で 2回接種し、6ヶ月 ~ 1年後に 3回目の接種を行います。

梅毒

梅毒トレポネーマの感染による細菌感染症です。主に性行為により感染します。感染者の皮膚粘膜病変の滲出液に含まれる梅毒トレポネーマが、接触者の粘膜や皮膚の小さな傷から侵入して感染をします。具体的には、性器-性器、性器-肛門、性器-口等の接触が原因になります。潜伏期間は3~6週間程度で、3段階の時間経過で様々な症状が出現します。一時的に症状が軽快することがあり、治ったと勘違いしてしまい、治療開始が遅れてしまうことがあります。

症状

以下の図を参照

治療

抗生物質(ペニシリンなど)

予後

晩期顕性梅毒になると、場合により死亡することがありますが、早期から治療を開始すれば抗菌薬が有効であるため、晩期顕性梅毒に進行することは近年ほとんどありません。

予防

感染者との性行為を避けましょう。
コンドームの使用は完全でないものの、効果はあるとされています。
一度感染しても終生免疫は得られず、再罹患する可能性があります。

〈参考〉厚生労働省 これって性感染症? https://www.hivkensa.com/sti/