海外感染症流行情報
海外医療通信(2026年4月号) 東京医科大学病院 渡航者医療センター
海外感染症流行情報 2026年4月
(1)全世界:インフルエンザとCOVID-19の流行状況
インフルエンザの患者数は、4月時点で世界的に減少しています(WHO global influenza program 26-4-23)。COVID-19についても、北半球の冬の流行は収束しました(WHO COVID-19 dashboard 26-3-24)。ウイルスの種類は、BA.3.2型が日本を含む世界各地で増加傾向にあり(国立健康危機管理研究機構 ARI週報第15週))、北半球の今夏の流行で拡大するかが注目されいます。
(2)アジア:日本やバングラデッシュで麻疹患者が増加
今年は日本の麻疹患者数が4月中旬までに累積で299人にのぼっており、昨年の年間患者数(265人)を超えました(国立健康危機管理研究機構 26-4-21)。海外からの輸入事例は30人で、感染国はインドネシア(12人)が多くなっています。今年は国内感染例も多く報告されており、4月中旬には都内の小学校で18人の集団感染が発生しました(東京都保健医療局 26-4-21)。
アジア各地でも麻疹の流行が報告されており、バングラデッシュでは3月中旬から4月中旬までに2万人近い疑い患者が発生し、100人以上が死亡しました(WHO DONs 26-4-23)。患者の大多数は5歳以下の小児で、首都ダッカなどでの発生が多くなっています。
(3)アジア:デング熱の流行状況
東南アジアでは4月時点でデング熱患者数の大きな増加はありません(WHO西太平洋 26-4-16)。ただし、ベトナムでは昨年より患者数が増えています。南アジアでは、モルジブで今年初頭から患者数が増加しており、4月中旬までに1900人以上にのぼっています(WHO南東アジア 26-4-22)。同国には日本からダイビングなどで訪れる観光客が多く、滞在中は蚊に刺されない対策をとってください。
(4)アジア:インドネシアでのジカ熱流行
フランス保健当局は、25年7月から26年3月にかけて、インドネシアのバリ島から帰国した旅行者11人がジカ熱に感染していることを報告しました(ヨーロッパCDC 26-4-17)。ジカ熱は蚊に媒介される感染症で、発熱や発疹を起こすとともに、妊娠中に感染すると胎児の健康に影響を及ぼすことがあります。バリ島には日本からの観光客も多く、妊娠中の人が滞在する場合は蚊に刺されない注意をしてください。
(5)北米:米国で麻疹流行が続く
今年は米国でも麻疹の流行が発生しており、4月下旬までに患者数は1800人近くになっています(米国CDC Measles 26-4-24)。現在、西部のユタ州や南部のテキサス州などで患者発生が増えています。今年は6月から全米各地でサッカーの世界選手権大会(FIFAワールドカップ)が開催されるため、流行がさらに拡大する可能性があります。日本から米国に渡航する場合、ワクチンを2回受けていない人は、出国前にワクチン接種を受けておくことをお勧めします。
(6)オセアニア:オーストラリアでジフテリアの患者数増加
オーストラリアでは、西部のキンバリーでジフテリアの患者が今年になり30人以上発生しています(ProMED 26-4-23)。北部準州でも10人の患者が報告されています(ProMED 26-4-8)。ジフテリアは呼吸器症状や皮膚症状を起こす細菌感染症で、患者の飛沫を吸い込んだり、皮膚に接触したりして感染します。今回の患者の多くは皮膚症状のあるタイプとのことです。日本ではほとんどの人がジフテリアのワクチン接種を乳幼児期に受けており、現地で感染するリスクは低いと考えます。
