出発前の健康準備
1)海外の健康情報を入手しましょう
「旅先にはどんな病気が流行しているのか?」「どんな医療機関があるのか?」こうした情報を出発前に入手してください。最新の情報は(表1) に示すインターネットのサイトから検索できます。
(表1)海外医療情報サイト
外務省・世界の医療事情:国別の健康情報、海外医療期間情報など |
外務省・海外安全ホームページ:海外の治安、感染症流行情報など |
厚生労働省検疫所:海外感染症情報、予防接種情報、トラベルクリニック情報など |
日本渡航医学会:国内のトラベルクリニック情報など |
海外勤務と健康org:海外勤務者の健康管理に関する情報など |
2)自分の健康情報を準備しましょう
健康に不安のある方は出国前に健康診断を受けるなどして、自分の健康状態のチェックをしておきましょう。慢性疾患のある方は、主治医に海外渡航の可否についてご相談ください。渡航が可能であれば、主治医に簡単な英文診断書(病名や薬剤名などを記載)を作成してもらいましょう。
3)携帯医薬品
風邪薬や下痢の薬などは出国前に準備し、持参するようにしてください。短期間の海外渡航の際に推奨する携帯医薬品を(表 2)に示します。
慢性疾患で薬を常用している方は、旅行日程よりも多めに薬を持参してください。
(表2)海外渡航者の携帯医薬品
内服薬 | 外用薬 | 衛生用品・その他 | |
---|---|---|---|
基本医薬品 | ・総合感冒薬 ・解熱鎮痛薬 ・胃腸薬 ・整腸・止痢薬 |
・痒み止め ・抗菌薬入り軟膏 |
・救急絆創膏 ・包帯 ・体温計 ・滅菌ガーゼ |
追加を考慮する医薬品 | ・抗アレルギー薬 ・便秘薬 ・睡眠導入薬(医師処方) |
・昆虫忌避剤 ・点眼薬 ・日焼止め剤 ・湿布薬 |
・蚊取り線香 ・経口補液剤 ・生理用品(女性) ・コンタクト保存用品 |
4)海外旅行保険の加入
海外で医療機関を受診すると高額の医療費を請求されることがあります。このため、出国前に海外旅行保険に加入しておくことをお奨めします。
なお、慢性疾患をお待ちの方は、その病気に関連した医療費が旅行保険でカバーされないことがあります。事前に保険会社にお問い合わせください。
5)ワクチン接種
感染症の一部はワクチンの接種で予防することができます。どのワクチンを接種するかは、滞在する国や滞在期間、旅先でのライフスタイルなどによって決めます(表 3)。なお、ワクチンは2 ~ 3 回の接種が必要なものが多いため、出発の 1 カ月前には接種を開始するようにしましょう。
(表3)
ワクチン名 | 滞在期間* | 滞在地域 | 特にお勧め | |
---|---|---|---|---|
短期 ~1カ月 |
長期 2カ月~ |
|||
A型肝炎 | 〇 | 〇 | 途上国 | 60才未満 |
B型肝炎 | 〇 | アジア・アフリカ | 医療従事者・医療ボランテイア | |
破傷風 | 〇 | 〇 | 全世界 | 野外活動 |
狂犬病 | △ | 〇 | 途上国 | 動物に接する、暴露後速やかな医療介入が困難な地域 |
日本脳炎 | △ | 〇 | 中国~南アジア | 農村部滞在、接種歴なし |
腸チフス | 〇 | 〇 | 南アジア、アフリカ | 衛生面で問題ある地域 |
ポリオ | 〇 | 南アジア、アフリカ | 1975~1977年生まれ、ナイジェリア・インド・パキスタン滞在 | |
髄膜炎菌 | △ | 〇 | 熱帯アフリカ、先進国 | 流行地、先進国留学 |
黄熱 | 〇 | 〇 | 南米、アフリカ | 入国時に国際証明書を要する国への渡航 |
インフルエンザ | 〇 | 〇 | 全世界 | 高齢者、持病あり |
麻疹 | 〇 | 〇 | 全世界 | |
風疹 | 〇 | 〇 | 全世界 |